今回のテーマはダイエット方法:インターミッテント・ファスティング(断続的断食)です。

断続的断食とは
一定の時間帯に食事を摂り、それ以外の時間は断食を行うことで、健康や体重管理、代謝改善などを目指します。食べる「時間帯」と「断食時間」を意識的に管理する点が特徴です。

主な方法
代表的なインターミッテント・ファスティングの方法を挙げます。

1. 16:8 メソッド

  • やり方: 1日のうち16時間を断食し、残りの8時間で食事を摂る。
  • : 朝食を抜き、正午から夜8時までに食事を済ませる。
  • 比較的取り組みやすい方法として人気があります。

2. 5:2 ダイエット

  • やり方: 週5日は通常の食事を摂り、残りの2日間はカロリーを500~600kcalに制限する。
  • 断食日は連続する必要はありません。

3. 24時間断食

  • やり方: 週に1~2回、24時間食事を摂らない(例: 夕食から翌日の夕食まで断食)。
  • 慣れるまで難しい場合がありますが、食事の回数を大幅に減らします。

4. 隔日断食(Alternate-Day Fasting)

  • やり方: 1日おきに断食またはカロリー制限(500kcal以下)を行う。
  • 負担が大きいため、特に健康管理のサポートが必要です。

メリット

  1. 体重管理: カロリー摂取が減少し、脂肪燃焼が促進される。
  2. 代謝改善: 血糖値の安定やインスリン感受性の向上が期待される。
  3. 細胞修復: 断食中にオートファジー(細胞の自己修復)が活性化される。
  4. 生活習慣の改善: 食事時間の規律ができることで、間食や夜遅くの食事を減らす助けとなる。

注意点

  • デメリット:
    • エネルギー不足による疲労感や集中力の低下。
    • 頭痛や空腹感が強い場合もある。
  • 適応が難しい場合:
    • 妊娠中、授乳中、慢性疾患を抱える人には推奨されません。
  • 医師への相談:
    • 糖尿病や食事制限の既往がある場合は、開始前に医師と相談してください。

インターミッテント・ファスティングに関する科学的研究は増加しており、いくつかの有効性が示されています。ただし、エビデンスはまだ発展途上であり、長期的な影響についてはさらなる研究が必要といえます。
現時点での主要なエビデンスを紹介します。

  1. 体重管理と代謝改善
    JAMA Network Openの2021年のレビューでは、複数のメタアナリシスを統合し、インターミッテント・ファスティングが体重、BMI(体格指数)、脂肪量、血糖値、インスリン感受性、血圧などの指標を改善することが示されています。特に「修正版交互日断食」(Modified Alternate-Day Fasting)は、体重減少に中程度の効果があるとされています。

  2. 心血管疾患のリスク低減
    Cardiovascular Researchの論文では、インターミッテント・ファスティングが心血管系に対するポジティブな影響を示し、血中脂質、血圧、炎症マーカーを改善する可能性があると報告されています。ただし、長期的な心血管イベントへの影響を明確にするにはさらなる研究が必要です。

  3. 代謝切り替えと健康効果
    インターミッテント・ファスティングによる「代謝スイッチ」(肝臓での糖エネルギーから脂肪由来のエネルギーへの切り替え)は、脂肪燃焼を促進し、代謝全般を改善するメカニズムとして注目されています。このプロセスは、動物研究だけでなく、一部のヒト試験でも確認されています。

注意点
これらの研究は多くが中期的な観察期間で行われており、長期的な健康影響についてはさらなるデータが必要です。また、インターミッテント・ファスティングの効果は、個人の健康状態やライフスタイルによって異なる可能性があります。
より詳しい情報については、以下のリンクを参考にしてください。

結論
正常体重の方に対するインターミッテント・ファスティングの効果に関するエビデンスは限定的であり、現在の知見では、主に肥満や過体重の方への効果が立証されています。ただし、健康維持や慢性疾患予防の観点から、正常体重の方にとっても有益である可能性があります。正常体重でインターミッテント・ファスティングを試す場合は、栄養バランスを考慮し、過度の制限を避けることが重要です。

ちなみに正常体重の基準は、一般的にBMI(Body Mass Index)という指標を使って評価されます。
BMIは、体重(kg)を身長(m)の二乗で割った値で計算され、以下のような基準が用いられます。

WHO(世界保健機関)の基準

  • 18.5未満: 低体重
  • 18.5~24.9: 正常体重
  • 25~29.9: 過体重
  • 30以上: 肥満

日本肥満学会の基準

日本では、WHOの基準に加え、健康リスクに基づいた以下の分類が一般的です。

  • 18.5未満: 低体重
  • 18.5~22.9: 正常体重(健康リスクが最も低い範囲)
  • 23~24.9: 適正体重の上限(肥満予備軍)
  • 25以上: 肥満

注意点

  • 筋肉量や体脂肪率: BMIは体重と身長だけで計算されるため、筋肉量が多い人や痩せ型でも体脂肪率が高い人には適切でない場合があります。
  • 地域差: アジア人では、肥満や健康リスクの基準がやや低めに設定されています。

次回は、地中海式ダイエットについて考えてみましょう。
今日も素敵な1日になりますように。

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