今回のテーマは水溶性ビタミンです。
ビタミンは脂溶性ビタミンと水溶性ビタミンに分ける事ができます。
脂溶性ビタミンについてはこちらをご覧ください。

それでは、今回のテーマ水溶性ビタミンは全部で9種類、ビタミンB₁、ビタミンB₂、ナイアシン、パントテン酸、ビタミンB₆、ビオチン、葉酸、ビタミンB₁₂、ビタミンCがあります。。
水溶性ビタミンは名前の通り、水に溶けやすく熱に弱い性質があり、体内に蓄積されにくいので毎日摂る必要があります。
また、水溶性ビタミンの大部分はエネルギー代謝経路で酵素を助ける補酵素として働きます。
ちなみに、酵素とは食べ物の消化や吸収、代謝など、体内で起こるあらゆる反応に無くてはならない必須タンパク質です。酵素の働きは、食べ物を消化、吸収して得られた栄養素をからエネルギーを作り出す事です。

では、それぞれの働きを見ていきましょう。

ビタミンB₁
補酵素として糖質・アミノ酸代謝に関与しています。
不足すると代謝系が停滞し、疲労感が生じ消化管の働きが鈍くなるため、食欲不振が起きます。
欠乏症は、脚気(全身の倦怠感、食欲不振、足のむくみやしびれなどの症状)や、ウェルニッケ脳症(脳幹部に微小な出血が起こり、眼球運動障害、意識障害、ふらつきなどの症状)があります。

ビタミンB₁を多く含む食品として
豚肉、蕎麦、大豆、ウナギ、落花生、のり、ごまなど

ビタミンB₂
補酵素としてエネルギー代謝や酸化還元反応(2種の物質間で、電子・酸素原子・水素原子の授受が行われる化学反応)に関与しています。
また成長ホルモンの合成にも関与しています。
不足すると、成長障害や口腔内外の炎症、皮膚炎、眼の充血などが起きます。
欠乏症には、成長停止、口角炎、口唇炎、舌炎。角膜炎、脂漏性皮膚炎(頭皮や頭に赤みやフケのようなものが現れる症状)などがあります。

ビタミンB₂を多く含む食品として
レバー、卵、乳、肉、魚、アーモンド、のりなど

ナイアシン
糖質・脂質・アミノ酸代謝における多くの酸化還元酵素の補酵素の構成成分として機能しています。
欠乏症では、ペラグラ(皮膚炎や下痢、精神・末梢神経障害などが起きる症状)が起こります。
一方、大量に長期間摂取した場合に消化管・肝障害の恐れがあります。

ナイアシンを多く含む食品として
カツオ、魚、肉、レバーなど

パントテン酸
糖質代謝に重要な役割を果たすコエンザイムAの構成成分であり、糖質・脂質代謝などの反応に関与しています。
動物性食品に広く含まれ、食物から摂取する以外にも腸内細菌が合成したものが供給されるため、通常の食生活で不足する事はありません。不足した場合は成長停止や末梢神経障害、消化管の異常、皮膚炎などが起きます。

パントテン酸を多く含む食品として
レバー、そら豆、納豆、落花生、鮭、卵など

ビタミンB₆
補酵素としてアミノ酸代謝や神経伝達物質の生成に関与しています。
腸内細菌によって合成されるため、通常不足する事は無いが不足すると、口角炎、皮膚炎などが起きます。大量に長期間摂取した場合は、感覚神経障害などを起こす恐れがあります。

ビタミンB₆を多く含む食品として
肉、魚、レバー、ごま、クルミ、バナナなど

ビオチン
糖新生、脂肪酸の合成、アミノ酸代謝などに関与しています。
腸内細菌からも合成されるため欠乏症は起こりにくいです。
ビオチンは、生卵白中のアビジンという糖タンパク質と結合しやすく、結合すると不溶性となり、腸管からの吸収が阻害され皮膚炎や脱毛、体重減少などの卵白障害が起きます。

ビオチンを多く含む食品として
レバー、卵黄、牡蠣、魚、ピーナッツなど

葉酸
核酸合成やアミノ酸代謝において重要な役割を果たしています。
欠乏症として巨赤芽球性貧血があります。
妊娠可能な女性は、胎児の神経管閉鎖障害の発症及び再発を予防する為に、受胎前後3ヵ月以上の間、母体において葉酸が十分な栄養状態である事が望ましいとされています。

葉酸を多く含む食品として
レバー、新鮮な緑黄色野菜、豆類など

ビタミンB₁₂
核酸の合成や脂質・アミノ酸代謝に関与する補酵素としての役割があります。
動物性食品に含まれるが、植物性食品には含まれない。
動物性食品を含む食事をしている方は通常欠乏することはないが、菜食主義者や胃の切除を受けた方などでは、欠乏症として巨赤芽球性貧血が起きます。
吸収されるためには、胃で合成・分泌される内因子と結合する必要があります。

ビタミンB₁₂を多く含む食品として
レバー、魚、貝、牛肉、卵など

ビタミンC
抗酸化作用、コラーゲンの合成のための補酵素としての作用、腸管からの鉄の吸収上昇作用などがあります。
ストレス下において分泌量が増加する副腎皮質ホルモンと副腎髄質ホルモンの合成にも補酵素として関与しています。
欠乏症には、壊血病があり出血、全身倦怠感、関節痛、骨形成阻害による骨粗しょう症などがあります。

ビタミンCを多く含む食品として
野菜や果物など

まとめると
ビタミンB₁は、糖質代謝の補酵素
ビタミンB₂は、糖質・脂質代謝の補酵素
ナイアシンは、エネルギー代謝の酸化還元反応の補酵素
パントテン酸は、コエンザイムAの構成成分で糖質・脂質・アミノ酸代謝の補酵素
ビタミンB₆は、酸化還元反応の補酵素
ビオチンは、糖質・脂質代謝の補酵素
葉酸は、核酸の合成やアミノ酸代謝の補酵素
ビタミンB₁₂は、核酸の合成や脂質・アミノ酸代謝の補酵素
ビタミンCは、抗酸化作用、鉄の吸収促進、コラーゲン合成の補酵素
と覚えてください。

多くのビタミンの半減期(体内にためてある量が半分になるまでの期間)は半日であるため、丸一日ビタミンの摂取を行わなかった場合、体内のビタミンが欠乏した状況となってしまいます。
なのでビタミンは毎日補充しなくてはなりません。食生活の偏りによって栄養素の摂取不足がおきないよう気を付けましょう。

次回はミネラルについてお話しますね。
今日も素敵な1日になりますように。

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